早慶合格した先輩たち~④~

努力を重ね、苦手を克服した子。

真面目な彼女は、“コツコツ”の代表的な生徒だった。

 

英語は素晴らしく、中2駿台模試で1位を取り、偏差値70前後をコンスタントに取れるくらいだった。

国語も得意にしていた。大きく崩れることは少なく、安定して60以上は取れる。

彼女の課題は、常に数学にあった。

 

小学生の時から(当時は本当に小さかった!)、算数は苦手で、図形問題は特に苦戦していた。

「柔軟な」というのがどういうものかがいまいち分からない…本人も、頑張っているのに成果が出ず、好きにはなれない科目だったろう。

 

中2の時に初めて受けた駿台模試では、得意の英語とは対照的に、数学は偏差値50に届くのがやっと。(中2の初めての受験では、偏差値50に届く生徒の方が少なく、こちらはあまり心配はしていなかったが。)

彼女は努力家でもあったので、たいそう悔しかったことだろう。

2度目も振るわず、、、

 

英語・国語が強かったため、総合では常に上位の成績を保っていた。

数学さえ何とかなれば、どこでもチャレンジできるが、数学がなんともならないとどこも不安になる。

 

そうこうしている内に、中学3年生となる。

中2で偏差値50以上、中3で偏差値60以上を目標に授業が展開されていく。

中2ではクリアーしたものの、やはり偏差値60の壁は高く、なかなか突破出来ない。

 

彼女の転機は、「中3の夏期講習」だっただろうと思う。

中3の夏の数学では、40日間で総計24回ほどの総合演習を行い、テストを受けては直す、高密度な内容だった。

その日の反省はすぐに翌日に生かす。頑張れば頑張るほど、手応えを掴める。

彼女の直しには、一切の妥協はなかった。

図は素早く描き、計算は素早く行い、理解したら言葉で整理する。

先生のアドバイスにも目を向け、テストの中の意識についても執念深く振り返った。

 

夏の序盤こそ、なかなか突き抜けられない様子だったが、後半に入ると「全く崩れなく」なる。

同じミスを何度もしない。

以前やったことは出来るようにする。

当たり前のようだがとても大変なことを、やり遂げたのだ。

気づけば、「早慶に合格していった先輩たちと比べても上位」に割り込むほどになった。

彼女の強みは、「落とさない」力にあったと思う。(もちろん、難問にも果敢に挑戦し、正解を重ねていた。)

 

夏が明けると、彼女の偏差値に明確な違いが表れた。

「偏差値60前後を安定して」取れるようになっていたのだ。

正解できるところを正解すれば、これくらいは取れる。という自信が彼女の中に芽生えた。

彼女は数学が苦手だったからこそ、迂闊に点数を落とさないという意識や、何とかしなければという意識が人一倍強かったものも良い影響を与えただろう。

 

そういえば、彼女に驚いたことがあった。

中3の秋だったか、冬だったかの時に、球の問題の説明をしていた時、

球の中に立体があり、少々書きづらく感じる問題だったと思う。

これを、全員に「何秒くらいで図を書けるか」と聞き、私自身も一緒に書いたことが合った。

なんと、彼女は私よりも素早く使える図をサッと書いたのだ。

これには「負けたな。」と思ったし、「すごい。」という言葉と共に彼女に伝えたと思う。

 

強みの英語・国語を携え、崩れない(攻めることも出来る)数学をもって、入試に臨むことになる。

彼女は早稲田実業を第一志望にしていた。

その年の早実の数学は難しかった(受験生にとっては本番が一番難しく感じる)らしく、

家では“絶望”していたそう。

聞くところによると、「最後までやりきった」と言っていたので、私は数学でも周りにリードを取れていたのではないかと思 っている。(それくらい自己分析がよく出来ていたし、彼女の“やりきった”はいつでも良い結果を生んでいた。)

 

合格発表は、家を出る直前に聞いたようだったのだが、合格と聞いて親と一緒に泣いていたそうな。(こっちも嬉しくて泣きそう!)

 

合格後に、彼女がとても嬉しい事を言ってくれた。

後輩へのメッセージで「数学の問題を解こう解こうとすると、目の前の事ばかり考えて視野が狭くなってしまう。そんな時は一度深呼吸をして、問題全体を見るように、視野を広げるようにすると、気付かなかったことに気付ける、ということがある。参考にしてほしい。」

(おまけで、秘伝の「5つの指」についても大切だと言ってくれた。)

と、授業で何度も伝えてきていた“問題の見方”を、身振り手振りを交えて言ってくれたのだ。

先生が言うのと、先輩が言うのとでは受け取られ方が違う。

彼女が視野を広く持つことに本当に苦労をしていたからこそ、重みのある言葉として後輩に伝わったことと思う。

 

彼女は自分の頭が固いことをよく知っていたし、集中するとどんどん泥沼にはまっていってしまうこともよく知っていた。

本当によく克服してくれたと思う。よく頑張ってくれたと思う。

 

本当は彼女の得意科目は英語・国語だったし、どちらも大変よく出来ていたので、そちらの話もしたいところですが、

今日はここまで

 

彼女には様々なものを伝授したけれど、本当に授業をよく聞いて、よく復習して、よく身につけてくれた。

 

「努力を結果に結びつけた」彼女を誇りに思うし、尊敬の念すら抱く。

 

数学を苦手にしている子や数学に躓きを感じている子がいたら、諦めないでほしい。

まずは覚えるべきことを覚え、先生が言っていたことをおさらいし、それを自分でもやってみる。

当たり前のことを当たり前のように出来るようになれば、それはとてつもない力になる。

 

すべてを自分で考えるのは大変だ。

しかし、授業では先生が「いい考え方」や「ポイント」となることを君たちに伝授しているはず。(どの教科も)

それを、1つ1つ身につけて行けば、必ず良い結果に繋がっていくはずなんだ。

 

頑張り続けよう!!!

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